こんな疑問を持っている方へ。この記事では、Adobe Premiereを使った編集を仕事でやっている私が放送用にフォーマットするやり方を紹介していきます。
最近はウェブ動画が主流になりつつも、放送仕様のフォーマットを知っていると動画制作者として差別化できます。MAスタジオに入れる場合もここができていると作業がスムーズですよ。
目次
VTR用キューシート

キューシート(Que Sheet)は、制作した映像のタイムコードに沿ってどんな内容になっているかを書いたシートのこと。
放送局は納品テープに入っているこのシートを見ながら映像を確認して、納品の可否を判断します。今から作るデータのタイムコードを書き込んでいけばキューシートは完成しますよ。
映像のポイント
ショウ(SHOW)

放送で使用するフォーマットは1hショウ(01:00:00:00)か10hショウ(10:00:00:00)から本編スタートが一般的。今回は1hショウで本編がスタートするように制作します。
シーケンスパネルのシーケンスタイトル横の三本線をクリック。プルダウンが出てくるので「開始時間」を選択。そこで開始時間を00:59:00:00にセットします。
カラーバー/1k

カラーバーは画像の通りカラフルなバーです。昔は深夜3時とかテレビで何も放送していなくて、試験電波発信中なんてテロップがついて流れてましたね。見たことある人も多いんじゃないでしょうか。
もっと昔のアナログ放送の時はホワイトノイズだったかな。1kはカラーバーの画面で出ていたピーと言う高い音で1kHzの音声基準信号のことです。
ファイル → 新規 → カラーバー&トーン
このデータをタイムライン上にのせます。のせる時間は 00:59:00:00〜00:59:45:00の45秒。カラーバーの画像と1k音ができあがりました。
クレジット
Adobe Photoshop CC 2019で仮に作ってみました。クレジットに記載する内容は、番組タイトルや、いつ・誰が・どこで制作して、O.Aがいつかなどです。この情報がのった静止画を12秒間入れます。のせる範囲は00:59:45:00〜00:59:57:00。画像が短い場合はドラッグして伸ばしてください。
捨てカット
捨てカットは本編が始まるまでの余白部分。放送では黒みが流れてしまったら放送事故となりますので音声を無くした映像を本編前後、アタマとオシリに3秒ずつつけます。
セーフティーゾーン

放送には画面からテロップがはみ出さないようにセーフティーゾーンが設けられてます。全画面を100%として、内枠が80%。外枠が90%なのでだいたい90%内に入れておくと安心です。多少はみ出ても大丈夫ですが、YouTubeなど100%ギリギリで作っているものをそのまま放送画面にのせるとテロップが切れることがあります。
データ: コーデックとサイズ

コーデック:圧縮すると映像が劣化するので、フルサイズの非圧縮で書き出します。Apple ProRes422を選択すればOKです。
サイズ:フルHDのテレビサイズに対応するため、1980×1080ピクセルとなります。これはYouTubeでも同じですね。
音声のポイント
ノンモン
ノンモンとは「non-modulation」のことで、本編のアタマとオシリに15フレーム無音状態を作ります。放送では、前番組・CM・後番組など、本編の前後・間に別の映像が入るので、「番組が続いてませんよー」というのをわかりやすくするためです。特にCMは企業からお金をもらって放送しているので邪魔をするわけにはいきません。
15フレーム=0.5秒ね。
本編の前後はこの作りになります。
捨てカット→ノンモン→本編→
ノンモン→捨てカット
ラウドネス

以前テレビを見ていてCMに入ったら急に音がデカくなった、などが問題になっていたため、民放連の方で音声の基準を設けました。その基準値は-24LKFS(エルケーエフエス)でこれより±1dbが許容範囲と定められてます。映像の制作者はここの基準値に収めないと納品できないです!今は編集ソフトでもラウドネスが計測できるようになっています。
ここまでで、納品データとしては完成です!お疲れ様でした!
「箱入るんで、画完とOMF下さい!」と
言われることもあるよ。
画完
映像のつなぎが完成している状態のことで、撮影した音量などはまだ調整していなくてレベルがバラバラな状態です。音は、箱(MAスタジオ)でミキサーさんに調整してもらいます。
OMFファイル

タイムライン上の音声データがトラックごとパラで保存できるファイル形式。箱に入る場合に必要なファイルで、ミキサーさんが「Pro Tools」で読み込んで音量の最終調整に入ります。箱に入る場合はラウドネスも取ってくれるので自分でやらないでOKです。
ファイル→書き出し→OMF
これにて完パケです!
ウェブ動画と放送の境目が無くなってきていますが、放送についての知識を持っていると他の動画制作者と差別化が図れるので、ぜひ参考にしてみてください。